最近頻繁に見かけるのが,事業用定期借地権絡みのトラブルです。
コンビニ等の小売店やチェーンレストランなどが新規出店するときは,用地を買い取るのではなく,20年とか期限を区切って土地を借りるのが一般的です。
これを,「事業用定期借地権」といいます。
「普通の借地権」ですと,最低でも30年は貸さないといけません。また,一旦貸してしまうと,賃貸期間が過ぎてもそう簡単に出て行ってもらえません。
たとえ賃貸借契約書に「何があっても30年ぴったりで契約は終了する」「借主は立ち退き料は一切請求しない」と書いてあっても無効です。期間が満了しても,よほどの事情が無い限り出て行ってもらえませんし,仮に出て行ってもらえるとしても凄まじい額(それこそ,それまで受け取った地代を全部吐き出すぐらい)の立ち退き料を払うハメになります。
事業用定期借地権なら,地主様にとってこのような理不尽な負担は避けられるため,安心して他人に貸すことができます。
借りる側も,最初から決まった時期に追い出されることは分かっているので,「ここの店舗は,20年で撤退しよう。予想収益はこのくらいだから,投下する資本は・・・」というふうに,割り切って借りてくれます。
こういった安心感もあって,地主様に大変活用されている契約方法です。
ただ,このような便利さの反面,「公正証書で締結しないと契約が無効になる」「公正証書作成前の仮予約の内容を巡って,トラブルになりやすい」という注意点も抱えています。
地主様にとっては大変有益な契約類型なのですが,公正証書作成前にしくじってしまっては台無しです。
仮予約に
「借主が営業を開始するまでの間,地代は半額とする」
「借主が営業を開始して始めて賃貸期間がスタートする」
等の条項が入っており,借主がいつまで経っても営業を開始しないせいで,賃貸期間や地代額について揉める,というのはお約束です。
地主様は,仮予約の段階で,「不利な条項が入っていないか」「どういう条項を入れたら,トラブルを回避できるのか」について弁護士にご相談頂きたく思います。
<「契約条項は,仲介業者に任せておけばいい」?>
不動産仲介業者は,貸主と借主両方の仲を取り持つ立場にあるため,「地主様にとって,どういった条項を入れると有利になるか」といった助言・提案はしづらい立場にあります。
仲介業者が用意する契約書が,地主様にとって最適な内容とは限らないわけです。
特に,事業用定期借地権の場合,トラブル発生時の損失は莫大です。(例:月額地代200万円が6ヶ月空振りになるだけで1200万円の損失!)
「地主様だけの味方をしてくれる弁護士」に相談すれば,こういった損失を回避できます。
地主様は,提示された契約条項を丸呑みするのではなく,「かかりつけの弁護士」のチェックを受けて,慎重に契約を締結するようにしましょう。