弁護士・中小企業診断士の谷田が,中小企業の皆さんを法律・経営両面で支援します。

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損害賠償請求と中小企業

 このコーナーでは「中小企業が関わる損害賠償請求の案件」について解説をさせて頂きます。
 債権回収は,「(売掛金であれ貸付金であれ)何円払う」という約束が最初にありますが,損害賠償請求ではそういった「請求の元になる約束」が最初からあるわけではありません。何かトラブルが起こった時に初めて「加害者側がどういった違法行為をしたのか」「それによって被害者に何円分の損害が生じたのか」を立証して請求を進めていくことになります。
 法律構成の立て方や証拠集め等の巧拙で結果が大きく変わる法分野ですので,損害賠償を巡ってもめそうなときは(請求する側・される側いずれであっても)早期に当事務所にご相談頂ければと思います。

損害賠償請求事件の例

 損害賠償請求といっても,「どういう場合に損害賠償請求ができるのか(されるのか)」は今ひとつピンと来ないかと思います。
 そこで,谷田がこれまで関わってきた損害賠償請求事件のうち,一定の成果を上げた案件の一部を列挙してみます。
「ああ,こういう揉め事のときに,弁護士に相談すればいいのか」という理解の一助として頂けますと幸いです。(守秘義務の関係で,事案の詳細まではご紹介できないことはご容赦下さい。)
 ご覧頂ければ分かりますように,損害賠償請求が問題となる場面は実に多種多様です。

  1. 保険代理店が,保険契約の満期が迫っている契約者に対する意思確認を怠ったせいで保険契約が更新されず,その後に発生した事故について保険金が支給されなかったため,契約者が保険代理店に対し損害賠償請求をしたという事案
  2. 唯一の取引先から長期間にわたって食品加工を委託されていた会社が,突然委託契約の打ち切りを告げられた上,従業員全員を引き抜かれてしまい,事実上の廃業状態に追い込まれたため,その取引先に対して自社の事業価値相当額の損害賠償請求をしたという事案
  3. 独立した会社の従業員が,在職中から会社顧客の引き抜きを行っていたため,独立した従業員に対して会社が損害賠償請求をしたという事案
  4. 在任中に著しい背任行為を行った元取締役に対し,会社が損害賠償請求をしたという事案
  5. 従業員による会社財産の着服
  6. 工場内で転倒した従業員が,会社の安全配慮義務違反を理由として会社に損害賠償請求してきたという事案
  7. 説明不十分のまま,明らかに不要な高額OA機器のリース契約を締結させられたため,契約者が販売業者に対して損害賠償請求を行ったという事案

予防が一番!

 上で損害賠償請求事件の概要や具体例を挙げましたが,そもそも(請求する側・される側どちらにしても)損害賠償請求事件などというものに関わらないで済むのが一番です。
 損害賠償請求をされる側が不利益を受けるのは当然として,請求する側にしても,実際に賠償金の回収にこぎ着けるまでにかかる期間・費用・心理的負担は決して軽いものではないからです。「全面勝訴したって損が出る」と言ってもいいでしょう。
 
 結局のところ,平常時から
「従来付き合いのない会社が,こういう条件を付けて取引を申し込んできたんだけど,大丈夫だろうか。」
「外部との取引に際しての社内体制に不備はないだろうか。」
「継続的取引契約書の条項に不備はないか。」
等について専門家のチェックを入れて,損害賠償請求事件の当事者にならない工夫をすることが一番の経営戦略といえましょう。(この点は,まさに当事務所の経営方針でもあります。)

 対外的取引・組織活動を反復して繰り返す中小企業が,損害賠償請求事件に巻き込まれる確率は一般消費者・個人の比ではありません。中小企業の皆さんには,是非「予防法務」を意識して,常日頃から気軽にご相談をして頂きたいと思います。