弁護士・中小企業診断士の谷田が,中小企業の皆さんを法律・経営両面で支援します。

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会社の破産手続~弁護士の関わり方~

 会社は「従業員を動かして」「掛け取引で仕入れをし」「取引先に継続的に販売する(あるいは多数の消費者に販売する)」ことで事業を存続させています。
 会社が破産するとなると,これらが一度に止まることになりますので,大変な混乱が生じることは容易に想像できるかと思います。
 当事務所が経営者の方から破産のご相談を受けた場合は,概ね以下のような段取りで準備をし,裁判所へ破産の申請をします。
(会社の破産申立に必要な弁護士費用等はこちら)

会社の破産申立・スケジュールについて

(以下はあくまで一例です。方針によっては他の段取りが追加されたり,順序が入れ替わることがあります。)
1,初回相談
 後述の資料をお持ち頂き,どういった方針で破産申立をするのか(単に会社をたたむのか,事業を他社に引き継ぐのか,仕掛り中の業務を他社に引き継ぐのか・・・)を協議します。
 また,直近の資金繰りから「どのタイミングで廃業を宣言するか」について検討し,以後のスケジュールを固めます。弁護士費用や裁判所への予納金についても、この段階でご説明をさせて頂きます。
 なお,経理担当者の方に同席して頂きますと今後の資金繰り等の確認がスムーズに進むのですが,他方で破産することが他の従業員に漏れる恐れもあります。同席させるのがいいかどうかはケースバイケースですので,事前にお電話でお問い合わせ下さい。
 この初回相談の充実度で,その後の破産手続が円滑に進むかどうかが決まります。(ここで失敗すると,裁判所への破産申立費用すら確保できずに終わってしまいます)ですので,最低3時間はお時間を確保して頂きたいところです。

2,廃業の説明会を開く
 1であらかじめ決めておいた「廃業日」に,従業員を集めて弁護士が廃業の説明を行います。雇用契約の解消・賃金の精算・社会保険関連の手続等も含めて,弁護士が指導・助言をします。
 また,債権者が会社事務所から財産を搬出するといったトラブルを避けるため,財産の保全措置をとります。

3,債権者対応
 2の廃業後速やかに弁護士から各債権者(金融機関,仕入先等)へ受任通知を発送します。これによって,債権者からの問い合わせや催促は全て弁護士に集中しますので,経営者の方が請求・問い合わせに晒されることを極力抑えることができます。

4,裁判所への事前協議
 当事務所では,正式に破産を申し立てる前に,裁判所と事前協議(少なくとも破産会社の概要説明)をするようにしています。
 これによって,裁判所は破産会社の事情を迅速・正確に把握してくれ,いざ正式に破産申立をしたときスピーディに破産手続を開始してくれます。(この事前協議・説明はとても大事です。これなしに申立をすると破産手続が始まるまで少し待たされてしまい,その間に税金の滞納処分を受けたり,事業価値がどんどん下がっていったりするためです)

5,破産手続の開始
 4の協議・説明をした上で裁判所に破産申立をし,裁判所に「破産手続開始決定」を出してもらいます。
 これ以降は,破産管財人弁護士(破産の申立をする弁護士とは別の弁護士。いわば破産手続の監督役です。)が破産手続の主役になるのですが,破産申立をした弁護士も破産管財人に協力・情報提供して,少しでも破産手続がスムーズに進むよう動きます
 特に,事業や仕掛り業務の引き継ぎがある場合は,この「申立代理人と破産管財人の連携」はとても大事です。

 一般的な会社の破産手続は,以上のような段取りで進みます。
 もっとも,
「スポンサーが事業を引き継いでくれる場合は,1~2の時期にスポンサー会社と条件面での話し合いをしたり,4の事前協議にスポンサー会社も同席してもらう」
「仕掛り業務がある場合は,2の前に元請・注文主等と業務の引き継ぎについて話し合ったり,5の破産管財人への引き継ぎに協力する」
等,以上の段取りに含まれない要素も出てきます。

 また,破産直前に,何の考えもなしに事業や財産を他社へ移すと,後で破産法上問題になることがあります。そのため,事業を生かす方向での破産手続を目指すのであれば,きちんと裁判所や債権者が納得するような裏付けを固めて手続を進めていく必要があります。

 このように,破産事件には一つとして同じものはなく,一件一件弁護士によるオーダーメイドになるわけです。それだけに,会社の破産手続にあたっては,破産法に精通した弁護士に依頼したいところです。

 また,これら一連の破産申立手続は,とにかくスピーディにやる必要があります。当事務所では,「初回相談」から「正式な裁判所への申立」を2~3週間程度で一気に進めるようにしています。

会社の破産申立・初回相談時の必要書類について

「うまく事業内容を整理すれば民事再生等にもっていけるのに,社長が破産しかないと諦めている会社」
「どうみても事業続行は不可能なのに,気合いでなんとか立て直す!と気を吐いている会社」
 ・・・などなど,「会社の客観的な状況」と「社長の認識」にずれがある会社は案外多いです。そのため,ヒアリングだけで会社の経営状態・適切な方針を正確に分析するのは難しいものです。
 ですので,当事務所では,会社の経営状態に関する相談については「直近の決算書類3期分」「確定申告書控え3期分」「当期の試算表」「当面2ヶ月の資金繰り表」「労働者名簿」「賃金台帳」等を持参して頂くようにしています。

 こういった客観的な資料等をベースに初回の聞き取りをすれば,「会社の事業を何らかの形で残す方法はないか。」「現に進行している受注業務について,誰にどうやって引き継ぐか」「手続に必要な資金はどのタイミングで入ってくるのか」等の判断の精度が高まりますので,これらの資料のご持参をお願いいたします。

 なお,会社の自己破産申立に必要な弁護士費用・裁判所へ納める予納金についてはこちらをご参照下さい。
http://www.tanida-lawyer.jp/price-list.php#ID148