さて,地元の方なら異論はないと思いますが・・・宮崎県は思いっきり車社会です。
電車やバスといった公共交通機関よりも,マイカーで通勤している方の方がずっと多いかと思います。
ただ,会社の経営者からみると,従業員のマイカー通勤はリスクに他なりません。下手をすると,思わぬ損害賠償請求を受けるもとにもなりますので,注意が必要です。
今回は「マイカー通勤と使用者責任」についてお話をします。
自社の従業員が,通勤途中に事故を起こし,相手にけがをさせたり,相手の車を傷つけてしまった場合をイメージして下さい。
この場合,損害賠償責任は誰が負うのでしょうか?
まず考えられるのは,当然事故を起こした従業員本人です。
そして,従業員本人が,ちゃんと任意保険(対人・対物無制限)に加入していれば,それほど問題にはなりません。任意保険会社が出てきて賠償してくれるからです。
問題は,従業員本人が任意保険に加入していなかった場合です。
本県の任意保険加入率は60%と,全国平均の75%弱に比べるとだいぶ低めです。そのため,事故を起こした従業員が無保険だった,ということは決して珍しくありません。
この場合,相手方のけがについては,強制加入である自賠責保険で多少はまかなわれるのですが,相手方の車の傷については一切保険が下りません。
こういってはなんですが,任意保険にすら加入していない従業員本人に,弁償するお金なんてないのが普通ですから,事故を起こした本人から取り立てるというのもあまり現実的ではありません。
「保険は下りない」「事故を起こした本人にはお金がない」となると,相手方としては,少しでも取れる相手に請求しよう,ということで,雇い主である会社に請求してくるわけです。
いわゆる,使用者責任というものです。
ただ,マイカー通勤は,会社業務の一環のような,そうでもないような・・・微妙な位置づけですので,会社が使用者責任を負うかどうかはケースバイケースという所もあります。
次回は,どういった場合に,従業員のマイカー通勤について会社が責任を問われるかをご説明した上で,会社が取るべき対応策をご紹介します。