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中小企業の労務管理 ~労働時間の把握・管理1~

2016年12月05日

 今回は,労働時間の管理をテーマに解説をしようと思います。
 「中小企業の労務管理 ~よくある問題点2~」の「労働時間の管理がいい加減」と,「中小企業の労務管理 ~よくある問題点3~」の「休憩時間にも仕事をさせている」に対応する解説になります。

 後日解説する「労働者の解雇」についても同じ事が言えますが,「労働時間の把握・管理」で満点をとるのはとても大変です。極端な話,社長自らが従業員全員にベッタリ貼り付いて監視すれば完璧なのでしょうが,そんなことできるわけないですよね。

 ですが,80点~90点なら一般の中小企業にも手が届くと思いますので,できるところから手を付けていきましょう。


1,タイムレコーダーの導入

 さて,上記リンク先の「よくある問題点」でも少し触れましたが,労働時間の管理は会社側の責任とされています。これを会社が怠っていますと,従業員に残業代請求をされたときに従業員側の立証のハードルがグンと下がります。それこそ,従業員の日記などで柔軟に残業時間が算定されてしまいますので,単なる出欠だけでなく,出勤時間・退勤時間を管理するようにしましょう。


 そして,会社はどのような方法で労働時間の管理をするのか,ですが・・・「使用者が始業時間と就業時間を自ら確認して記録する」or「タイムカード等の客観的な記録を基礎として確認・記録する」方法によるべきである,という通達があります。

 とはいえ,社長が全従業員の始業時間・就業時間を実際に目で見て記録するなんてあまり現実的ではありません。

 そのため,実際には「タイムカード(タイムレコーダー)による管理」一択となります。タイムレコーダーを導入していない経営者がおられましたら,是非導入して下さい。

 従来からある打刻式タイプに加えて,最近ではパソコン・スマホの端末を使ったクラウド式のタイムレコーダーサービスもたくさんリリースされています。給与計算ソフトと連動しているものもあり,総務・経理担当者の業務効率化につながるかと思います。

 料金体系はサービスごとに様々ですが,事業所の規模・従業員の人数に応じた手頃な価格設定(少人数であれば無料のものもあります)のものもありますので,自社に合ったサービスを選んでみてはいかがでしょうか。


2,タイムレコーダーの運用について

 以上のように,タイムレコーダーをせっかく導入しても,適切に運用されていなければ「タイムレコーダー上の記録と,実際の労働時間が食い違う」という事態が生じてしまいます。そうなると,「タイムレコーダーで記録されている時間内に,実際は働いていない時間があったのか」「逆に,タイムレコーダーで記録された時間以外に働いていた時間があったのか」が別途争点になり,大変不毛です。

 そのため,タイムレコーダーが実際の労働時間を正確に反映するように運用する必要があります。

 この運用面の対策・注意点については,「従業員側の問題」「会社側の問題」に分けて考えると分かりやすいです。次回は,これら2つの視点から運用面の注意点を説明します。


 次回「中小企業の労務管理 ~労働時間の把握・管理2~」に続きます。


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