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悪質な求人広告サイトの勧誘

2019年07月15日

 今回は,求人広告サイトへの掲載を勧めてくる悪質業者についてのお話しです。
 地域に特段偏りは無く,宮崎県の中小企業でも多数の被害報告が寄せられています。(昨年秋口以降,谷田が直接相談を受けたものだけで5件あります。)

 このトラブルについては,最近になって各地の地方紙や経済産業省のサイトでも触れられるようになったので,危険性についてはだいぶ周知されてきた感じはするのですが・・・それでもまだまだ被害報告がやみませんので,当事務所のコラムでも解説させて頂きます。

「うかつにも引っかかってしまった。どうしよう?」という企業様も,「まだうちにはそんな勧誘来ていないけど。」という企業様も,今後泣き寝入りしないために是非以下の解説にお目通し下さい。


 さて,問題の悪質商法(というより詐欺)の手口は以下のような感じです。

 ネット上に求人広告を載せせんか。最初の20日は無料です。」と電話で営業をかけてきて,申込書をファックスしてきす。
 申込書の下の方には小さな文字で「無料期終了後は有料プランに移行しす。移行したくない場合は,無料期間終了?日前までにご連絡下さい。」と印字されています。ですが,担当の営業者は,この点についてははっきりした説明はしてくれせん。

 この申込書を使って求人広告掲載を申し込みすと,求人ポータルサイトに求人広告は載せてくれす。

 ですが,無料掲載期終了際になって,「無料期掲載の?日前でに,更新拒絶の連絡がなかったので,有料プランに自動更新されした」「つきしては,有料プランの料金(30万円~45万円と高額!)をお支払い下さい」と連絡をしてきて,その後執拗に料金を請求してくるようになります

 更にたちの悪いことに,被害企業が支払を渋ると「じゃあ,15万円で良いので払って下さい。」「払ってくれないと裁判しますよ。」と脅してきます。

 この「15万円」というのが実に絶妙で,多くの弁護士の場合,裁判をお受けするとなるとこのくらいの弁護士費用をお願いすることになります。
 そのため,「裁判を受けて立つとなると,弁護士費用で最低でも15万円はかかる。だったら,腹は立つけど,さっさと15万円払って終わらせよう。」と屈して,泣き寝入りして支払ってしまう企業様も多いようです。

 以上の手口を使ってくる業者は多数おります。本当は,判明している業者の実名を全部晒したいのですが・・・お察し下さい。

 ほとんどの業者のサイトは,求人には全然役に立ちません。検索エンジンで全然上位に来ないサイトばかりですし,業者によっては,求人している会社名・連絡先すら載せていないというひどいものもあります。(どこが求人広告やねん・・・)

 とはいえ,引っかかってしまうとなかなか厄介です。
 業者が使わせてくる申込書ひな形には,(小さな字とは言え)「無料期終了後は有料プランに移行しす。移行したくない場合は,無料期間終了?日前までにご連絡下さい。」等と書かれており,理屈上はその内容で契約が成立してしまうからです。
 また,これは中小企業をターゲットにした悪質商法全般についても言えることですが,事業者はクーリングオフを主張することもできません

 ですので,まずは何より,この手の勧誘には一切乗らないようにしたいところです。「最初から申込書をファックスしない」これが最大の予防となります。
 単に社長ご自身が注意するだけでなく,外部業者と接触するスタッフらにも周知を徹底しましょう。(会社のFAXを使って申し込んでしまうと,もうそれだけでアウトですので)

 また,万が一引っかかってしまった場合どうするか,ですが・・・。
 今のところ,悪質業者が本当に裁判までしてきたケースは(皆無ではないものの)極めて少数です。少なくとも,谷田が相談を受けた5件については,全件とも支払をつっぱねるよう指導していますが,いずれも裁判を起こされたことはありません。

 また,この手のトラブルは全国でもかなり有名になったこともあり,弁護士同士の対策ネットワークも出来つつあります。そのため,仮に裁判をされたとしても,業者側の悪質さを立証することは可能になりつつあります。
 泣き寝入りすること無く,まずは業者の不当な要求を突っぱねたいところです。支払に応じてしまうと,悪質業者が一層増長して,他の被害者を生んでしまう可能性が高いですし,ここは踏ん張りどころです。

 万が一,悪質業者に引っかかってしまい、裁判まで起こされたときは,当事務所が赤字にならない範囲で裁判の代理をお受けします。泣き寝入りする前に,お気軽にご相談下さい。


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