弁護士・中小企業診断士の谷田が,中小企業の皆さんを法律・経営両面で支援します。

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働き方改革2~有給休暇・誤解あるある~

2019年02月11日

 さて,このコラムをお読みの経営者様や総務担当者様は,既に色々な場面で「有給休暇の付与義務」についての情報に触れてきたかも知れません。
 今回の「働き方改革」関連の新たな規制には様々なものがありますが,この中でも有給休暇の付与義務」は中小企業への適用が最も早い(=2019年4月1日!)上に,罰則規定まで設けられています
 「対応が遅れて書類送検」なんてシャレになりませんので,いち早く正確な知識を身につけて対応しましょう。

 とはいえ,ぶっちゃけ宮崎県の中小企業の中には,「有給休暇制度自体よくわからない」というところも多いのではないでしょうか。
 今回の法改正に正確に対応するには,元々の制度事態の理解が必須です。そこで,まずは「有給休暇の誤解あるある」というお題で,有給休暇の基本を説明していきます。
 「うちはこれまでも,有給休暇をちゃんととらせてきたから大丈夫。早く法改正の解説に移ってよ。」という方も,おさらいのためお付き合い下さい。
 案外,正確に理解できておらず,いざ従業員にツッコまれたときに右往左往される会社も多いので・・・。

1,有給休暇は法定の権利
 まずはここからですね。
 有給休暇は,今回の法改正よりもずっと前から「法律上認められている当然の権利」です。労働基準法には「これだけの期間勤続した労働者には,??日の有給休暇を与えないといけない」ということがはっきりと書かれているのです。
 そして,これよりも労働者に不利な雇用契約や就業規則を設けても「無効」です。契約書等に「本雇用契約では有給休暇は発生しない」とか,「労働基準法所定の有給休暇の半分しか認めない」といった条項をいくら入れても何の効力もありません
 これまで,有給休暇自体に無頓着だった中小企業にとっては,早くもこの段階で間違っていたりしますのでご注意下さい。

2,有給休暇について不利益な運用をしてはダメ
 これは,1の延長ともいえるお話しなのですが・・・有給休暇を少なくする・取りづらくする方向の運用は無効になります。
 たとえば,有給休暇の管理が大変だということで,4月1日(とか10月1日)に一斉に有給休暇を発生させるという運用をしている会社もあります。
 特に,今回の法改正を機に、有給休暇の管理を効率化させようとこのような運用を考えておられる会社様は多いかと思います。この運用自体は合理的なことなので,何ら問題ありません

 実際問題として,従業員ごとに個別に
「Aさんは平成30年5月11日に入社したから,同じ年の11月11日に最初の有給が10日間発生する」
「Bさんは平成30年8月1日に入社したから,平成31年2月1日に最初の有給が・・・」
なんて別々に管理をするのはとても大変なので,この有給休暇の発生日を統一させる」こと自体は事務処理上有益です。

 ただ,この「有給休暇の統一日管理」も,労働者にとって不利にならないよう気をつけないといけません
 例えば,「平成30年10月1日~平成31年3月31日に入社した人は,一律で平成31年4月1日に有給休暇10日を与える」・・・これなら問題は無いのです。
 この「半年単位での切り上げ方式」なら,「労働基準法に書いてある日数」は下回っていないからです。(会社にとっては,付与する日数が多くなりやすいのが難点ですが・・・。)

 ですが,「平成30年8月1日~平成31年3月31日に入社した人は,一律で平成31年4月1日に有給休暇10日を与える」というやり方はアウトになります
 この運用ですと,例えば平成30年9月1日に入社した人にとっては,労働基準法よりも有給休暇をもらいにくくなるわけですから。

 こういった縛りに対応するには,「労働基準法の決まりよりも勤続期間を切り上げて管理する」しかないのですが,あまり大ざっぱな期間で切り上げると,有給休暇を必要以上に付与することになります。
 場合によっては「3ヶ月単位切り上げ」「2ヶ月単位切り上げ」等,もう少し緻密な単位で基準日を揃えるのがいいでしょう。
 いずれにしても,この有給休暇の切り上げの方法については,就業規則にきちんと反映させる必要があります。


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