弁護士・中小企業診断士の谷田が,中小企業の皆さんを法律・経営両面で支援します。

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消滅時効いろいろ

2018年04月23日

 さて,今回からは小ネタをちょくちょく投下していきます。
 顧問先様からお寄せ頂くご相談の中から,特に多く寄せられるテーマを絡めて解説していきますね。

 今回は,掛け取引をやっておられる事業者様であれば一度は気になったこともあるであろう,「消滅時効の期間」についてお話をします。

 債権の消滅時効は,これまでの民法・商法ではとても多彩でややこしいところでした。
物品の販売代金・・・2年
工事代金・・・3年
飲み屋のツケ・・・1年
物のレンタル料・・・1年
医師・薬剤師の診療・調剤に関する報酬請求権・・・3年
弁護士の報酬請求権・・・2年(どうして医者より不利なんだ・・・)
家賃・・・5年
民法に特に規定のない,事業上生じた債権・・・5年
民法に特に規定のない,事業とは無関係の債権・・・10年

 ・・・と,他にも色々あってキリがないのでこの辺にしますが,このように時効期間一つとってもバラバラです。更に,どれに該当するかが微妙な債権もあったりと,非常に煩雑なテーマでした。
 ですが,今回の民法大改正(平成32年4月施行)によって,この辺は全部「5年」で統一されることになりましたので,だいぶスッキリすることになります。

 とはいえ,平成32年4月までに生じた債権は、依然として上のような時効期間によることになりますので,自社の取引内容に照らして油断なく債権管理をしていきましょう。

 さて,今回は「債権の消滅時効」のお話しでしたが,次回はこれと似て非なる「購入した物品に欠陥があったとき,買主が文句を言えるのはいつまでか」という問題について解説します。
 「購入した物に欠陥があったら,補償してもらえて当たり前」というのが経営者の皆さんの自然な感覚かと思いますが,実は法律上はかなり厳しい期間制限が設けられています。
 厳密には「消滅時効」とは違う問題なのですが,「請求せずに放置していると痛い目に遭う」という点では同じですので,是非気をつけて頂きたいテーマです。