弁護士・中小企業診断士の谷田が,中小企業の皆さんを法律・経営両面で支援します。

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中小企業の労務管理 ~では,雇ってしまったら?3~

2017年04月24日

「中小企業の労務管理 ~では,雇ってしまったら?2~」の続きです。)

 さて,前回お話ししたように,辞めて欲しい従業員がいるときは,
きちんと話し合って退職届等を書いてもらうのが理想です。
 ですが,実際には,問題ある従業員は退職の話し合いにすら応じてくれない,というケースも多いでしょう。(だからこその「問題社員」なわけですし)
 そういった場合,最終的には,会社からの一方的な解雇を検討する
ことになります。

 とはいえ,既に「中小企業の労務管理 ~よくある問題点4~」でもご説明したとおり,会社からの一方的
な解雇は,裁判で無効を主張されますと,会社側にとって厳しい戦になります。
 しかも,仮に解雇の無効を主張されて敗訴した場合のダメージはす
さまじいです。

 といいますのは・・・例えば解雇無効の裁判(正確には「地位確認
請求」といいますが)を起こされ,解雇から2年ほど経った頃に敗訴判決が出たとしましょう。
 この敗訴判決は,すなわち解雇の無効を意味しますので,
従業員は裁判中もずっと会社の従業員だったということになります
 その結果,
解雇から判決までの間の2年間の給料を払わされてしまうのです。(いわゆる「バックペイ」という問題です)この期間,従業員が一切自社で稼働していなかったとしてもです。
 また,仮にその従業員が,
裁判中に他の会社で働いて給料をもらっていたとしても,最低6割は給料を払わないといけません

 経営者の方にしてみれば「
なんで実際に働いていない期間について給料を払わないといけないんだ!」と言いたくなるところですが,解雇の有効・無効が訴訟の場に持ち込まれて敗訴してしまうとこういうことになるのです

 また,訴訟の途中で話し合いがつけば,
和解をすることも可能ではあります。
 ですが,この「バックペイ」のせいで,
会社が負担を迫られる和解金の相場はかなり高くなるという実情があります。
 いつぞやも地元の新聞で「??
社が従業員に解雇無効を主張されていた裁判で,??社は従業員に約1300万円を支払うことで和解した」という内容の記事を目にしましたが,これはその典型例といえるでしょう。(和解とは名ばかりで,裁判期間中の給料を全部払ってあげたのと大して変わりません・・・)

 とまあ,
解雇が法廷で争われた場合のダメージばかり書き並べましたが,従業員と話し合いがつかないのであれば是非もありません。
 次回は,会社から一方的な解雇をする際に,
最低限採っておきたい方策について解説します。

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