前回のコラムでは、「サービスの可視化」についてお話ししました。
http://www.tanida-lawyer.jp/201507161282.php
目に見えないサービスは、お客さんに分かってもらえるような工夫をしないと利用してもらえませんよ、という話でした。
では、サービス業の最たる「弁護士業」の世界では、サービスの可視化はどの程度進んでいるのでしょうか?
結論から言ってしまいますと、弁護士業界は「サービスの可視化」がとても(というか、一番)遅れている業界だと思います。
一般の人に「弁護士ってどういう仕事をしていると思いますか?」と聞いたときに返ってくる答えと言えば「裁判とかをやるんでしょ?『異議あり!』とか言って。」「離婚するときに相談に乗ってくれるんでしょ?」・・・こんな感じです。
いつぞやは、「契約書のチェックって弁護士さんもするんですね。弁護士さんの仕事って裁判だけと思っていました」と言われて衝撃を受けたことがあります。(契約書は、「裁判になった時に不利にならないために」作るものなので、裁判段階での有利・不利を意識できる弁護士がチェックしないと無意味です。)
こんな感じで、ほとんど理解されていないのですが、弁護士の取り扱う業務の種類は、実は皆さんが思っているよりもずっと多いのです。日本弁護士連合会のウェブサイトで紹介されているだけでもこれだけあります。
http://www.nichibenren.or.jp/contact/attorney.html
当事務所が中小企業支援として重視する「私的整理」や「クレーマー対策」は載っていませんし、上記サイトに載っているのは弁護士業務のほんの一部といっていいでしょう。
それなのに、これら弁護士の取扱業務はほとんどと言っていいほど業界外の皆さんには知られていません。このこと自体が、弁護士業界全体が「サービスの可視化」を怠ってきた何よりの証拠かと思います。(上の日弁連のコーナーも、入口が分かりづらいです。一般の方が初見で辿り着けるとはちょっと思えません・・・)
日弁連に対する批判になってしまいますが、日弁連公式サイトのトップページを見ても・・・
http://www.nichibenren.or.jp/
弁護士がいったいどういう形で皆さんのお役にたてるのか、全然分かりませんね。
「社会正義の実現」とか「基本的人権の擁護」はもちろん大事なのですが、それだけを掲げても「サービスの可視化」にはなっていません。「どういう人に対して」「どういう場合に」「どういう形で役に立てるのか」を端的に説明しないと、お客さんは問い合わせをする気にもなってくれずに帰ってしまいます。
と、終盤はかなり愚痴っぽくなってしまいましたが、とにかく弁護士は、自分の仕事内容をお客様に説明することを軽視してきたきらいがあります。当事務所は、自省の意味も込めて、今後「中小企業の皆さんに」「どういう場合に」「どういう形で役に立てるのか」を色々な形で情報発信していきたいと思いますので、よろしくお願い致します。