弁護士・中小企業診断士の谷田が,中小企業の皆さんを法律・経営両面で支援します。

blog

中小企業と顧問弁護士

2015年06月17日

 最近、立て続けに県内の中小企業様から顧問契約締結のご依頼を頂いています。当事務所の「日常からのトラブル予防を推進する」という経営理念が少しずつ浸透しているのかな、と手ごたえを感じているところです。

 ただ、そうは言っても、まだまだ県内の中小企業の間では「顧問弁護士?それって大企業の箔付けのためのものでしょ?うちは中小企業だし、顧問弁護士なんて必要ないよ。」という言葉が聞かれます。
 確かに、一昔前までは「箔付けのために顧問弁護士をつけているだけで、別に活用するつもりはない。」「弁護士に実際に相談するなんて縁起でもない。」という雰囲気が強かったと思われます。弁護士側にも「あまり相談に来ない顧問先がよい顧問先だ(=亭主元気で留守がいい?)」などと放言する人もいたりして、顧問弁護士を有効活用する・されるという意識に乏しかったように思われます。

 ですが、時代が変わったといいましょうか、なんでも話し合いで解決していた昔と異なり、今は少しでも行き違いがあればトラブルに発展してしまいます。(特に労使関係において、この「世知辛さ」は顕著な気がします。)一言でいえば、世の中全体がギスギスしているというわけです。そのため、トラブルに巻き込まれないように日常から業務体制に法的チェックを入れる「予防法務」が、経営上不可欠になってきています。

 こういった予防法務について、大企業は自社内で法務部を備えて対応しています。特に大きな企業ですと、弁護士を雇用して自社内に囲っていたりして(「インハウスロイヤー」といいます)予防法務を徹底しています。それだけの経営資源が大企業にはあるわけです。
 他方、中小企業ではそうもいきません。巻き込まれるトラブル次第では一発で経営が傾くおそれもあるのに、弁護士を雇うどころか、法務部を備えるほどの余裕もない、という会社がほとんどではないでしょうか。

 こうやって大企業と中小企業の在り方を見比べてみると、「予防法務のお手伝いをする顧問弁護士」はむしろ中小企業向きだということがわかります。外部専門家である弁護士を丸抱えするのではなく、「顧問契約を結んで、法的チェック・相談を必要な分だけ外注する」ことで、出費を抑えながらトラブルを予防するわけです。
http://www.tanida-lawyer.jp/advisory-contract.php
 例えば、商品の宣伝のためにチラシを印刷するとなったら、わざわざ業務用の印刷機を導入したりせず、印刷屋さんへ必要な数量分だけ発注しますよね?顧問弁護士も、それと同じような感じで気軽に活用して頂ければ、会社の防衛にきっと役立つでしょう。

 とまあ、こんな感じで「予防法務が大事」「普段から法的なチェックをしましょう」と繰り返し書きましたが、そもそも予防法務自体、事業者の方へのウケが悪いです。売上・利益の増大に直結しないと思われていることに原因があるのでしょう。
 ですが、谷田に言わせますと、「利益確保という意味では、予防法務はとても割がいい」のです。この辺は、後日稿を改めて書かせて頂こうと思います。