弁護士・中小企業診断士の谷田が,中小企業の皆さんを法律・経営両面で支援します。

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利益相反の問題

2015年03月31日

 弁護士が業務を行う上でとても気を遣うテーマの一つとして,「利益相反」の問題があります。
 ざっくり言いますと,「弁護士は,揉めている当事者両方の味方をしてはいけない(=どちらか一方の味方しかできない)という決まりのことです。

 一番ポピュラーな例は以下のようなものです。
「AさんとBさんがお金の貸し借りで揉めている。X弁護士が,Aさんから『Bに貸したお金を取り返したいが,どうしたらいいか』という相談を受けた。」
 というケースを考えます。
 このケースでは,X弁護士はこの揉め事については,Bさんから相談を受けたり,正式に事件を受けたりしてはいけないのです(もうAさんから相談を受けてしまっているため)。
 たまに,Bさんから相談を受けている最中に「あれ,もしかしてこれって・・・Aさんから相談を受けた件?」と利益相反に気付くことがありますが,その場合慌てて相談を打ち切ることになります。

 また,「顧問先同士のもめごと」も,弁護士にとって頭の痛い問題です。A社とB社(どちらもX弁護士の顧問先)が揉めている場合,X弁護士はどちらの味方にもなれないのです。(どちらにつくにしても,顧問先を訴えることになってしまいますので・・・)
 X弁護士としては,顧問料を頂いておきながら心苦しいところですが,この場合はA社・B社どちらの相談も受けずに,信頼できる他の弁護士をご紹介することになります。

 更にやっかいなことに,A社にX弁護士,B社にY弁護士といったように別々の弁護士が付いている場合でも,X弁護士とY弁護士が同じ法律事務所ですと利益相反に該当してしまいます。当事務所ではそもそも起こり得ませんが,弁護士が多数在籍している事務所に顧問契約を頼むと,「利益相反なので力になれない」という事態がしばしば起こります。

 弁護士に相談予約を申し込む際,電話口で「どういった揉め事か,揉めている相手は誰か」について必ず聞かれると思いますが,これは以上のような事情によります。紛争相手が誰かをきちっと聞いておかないと,お客様に無駄足を運ばせることになりますので,「相手方の確認」は欠かせないというわけです。