弁護士・中小企業診断士の谷田が,中小企業の皆さんを法律・経営両面で支援します。

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特別清算とは?

2015年02月26日

 当コーナーの「私的整理」のところで,「特別清算」という言葉が出てきます。これは一体,どういう手続なのでしょうか?

 普通,会社を任意にたたむときは,株主総会で解散決議をしてから,清算手続を踏みます。残った財産をお金に換えて債権者への支払いをして,残ったお金を株主に分配するわけです。(普通の清算)
 ですが,「残った財産では,債権者への支払いをしきれない(要するに債務超過)」会社もあります。そういった会社は,「特別清算」をすることになります。

 債権者にとっては,事業を続ける気のない会社が休眠状態で放置されるととても迷惑です。債権は回収できず,かといって未回収債権を損金として処理するには色々な制約がありますし。
 特別清算手続を経て債権がカットされますと,債権者側はカット額全部を損金として計上できますので,(どうせ債権が回収できないのであれば)特別清算をしてもらった方が債権者の税務処理上便利というわけです。
 また,債務者が法的整理(破産とか)にかかって廃業されるというのは,債権者側の風評にも関わるので(「あの会社は倒産した会社に債権を持っていたらしい。あの会社も連鎖倒産するんじゃないか?」というやつですね),そういった意味でも債権者側が特別清算手続を要望することは多いです。

 このように,特別清算はどちらかというと債権者側の利益のため,債権者側(主にメインバンク,親会社,大口取引先)の要望から進められるという点に特徴があります。
 皆さんが債権者側に回った時に役に立つ場面もありますので(赤字続きの子会社をスムーズに,風評被害を招かないでたたみたい,等),ここでご紹介いたします。